第12章 トップシークレット
フワリと広がった膝丈のチュールから伸びる素足が、恥ずかしそうに摺り合う。
「あんまり……見ないでください」
「一体、オレをどうしたいんスか」
その腕で隠そうとすればするほど、その渓谷は深さを増すばかり。
(それってわざと……なワケないか)
「どうって、これは桃井さんが……あ、っ」
気が付けば黄瀬は、壁に結の肩を押しつけていた。
「誕生日プレゼント、なんだよね?」
そうつぶやきながら、唇を落とした胸元はまるでマシュマロのよう。
「ひゃ、っ」
背中を反らせた反動で、突きだす形になった胸の谷間に顔を深くうずめると、細い指が力なく髪を掻きむしる。
その仕草に煽られるまま、黄瀬はむき出しの白い肌に自分のものだという主張を撒き散らしていった。
「っ……あ、ッ」
「いいコだから、じっとしてて」
手首を軽く押さえつけ、彼女の嫌がる首筋へと標的を移した唇が、容赦なくその肌を吸い上げる。
「ン、ん……っ」
「アレ?今日は嫌がんないんスね」
目立った抵抗がないのをいいことに、黄瀬はあっさりと拘束を解くと、両手をシャツの裾から滑り込ませた。
「あ」
「スゲ、気持ちい……」
身体にフィットした生地はやわらかく弾力に富み、侵入者を拒むことなく受け入れた。
すぐにたどり着いた膨らみを下着ごとつつんで、ゆっくりといたぶるように撫でまわすと、敏感に反応する尖りを指先で深く押しこむ。
「……ひゃ、っ」
「なんかオレ、アタマ変になりそ」
高めのヒールのせいで、唇までの距離はいつもより少し近い気がする。
今日に限って薄く化粧をしているのだろうか。
艶めくピンクのルージュがオトコの欲を掻きたてて止まない。
「オレをこれ以上狂わせんの、マジやめて」
「ん。ごめん、なさ……っ、んン」
噛みつくようにキスした恋人の唇の甘さは通常の五割増。
「ハハ、なんで謝んの?むしろ」
「きゃっ」
ふわりと浮いた結の爪先から、ミュールがカツンとこぼれ落ちた。
「謝んないといけないの、オレだから」
「……え」
「ゴメン。今日は優しく出来る自信、ないかも」
恋人の身体を横抱きにした黄瀬の首を、つうと一筋の汗が伝い落ちた。