第1章 澤村大地
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一方、菅原はというと…。
「菅原〜、さっきの子どうしたの??」
新垣と話し終えて教室に戻ると、女バレの主将の道宮が俺に駆け寄ってきた。
「いや〜、まぁ、ね」
笑顔で誤魔化すと、ふーん、と怪しむように目を細める。
「…たしか男バレのマネージャーだよね。彼女とか??」
声が大きいと注意して教室の隅へと誘導する。
「え、いや。あの子は大地の彼女だから俺の、」
「え!?浮気してるの!???」
大地に聞こえないようにヒソヒソと話していたのに道宮が叫んだせいで大地がこちらを見た。
「あ゛、」
黒い笑顔で近づいてくる。
やばい…、直感で思った菅原の顔は引きつった。
「ス〜ガァ〜」
やはり、道宮の声が大きかったか…と心の中で頭を抱える。
「あのな?大地、落ちつ、」
落ち着け、と言おうとしたがチャイムの音で声がかき消された。
ひとまず難を逃れれたので一息つき席に座った菅原であった。