第3章 日向翔陽
「…なぁ、」
コツン、と目を閉じて額同士をあわせられた。
更に距離が縮まり胸が高鳴る。
それと同時にどうしたのだろう、と不思議におもい翔ちゃんの顔をみつめる。
「……俺にだって構えよ…」
いつもより低くかすれた声。
いつの間にかこちらを捕らえる熱っぽい瞳。
小難しそうな、でも懇願するような表情。
今までみたこともない翔ちゃんで大きく胸が興奮によって震えた。
「か、かまってる、よ?」
「…夏とか、さっき電話してた……月島とかばっかじゃん」
少し言葉を詰まらせつつも言うとなんとも可愛らしい言葉が返ってきた。
ん?これって…
「やきもち妬いちゃった?」
ふふふっと、やっぱり翔ちゃんは可愛いなぁ~と笑ったら「笑いごとじゃないぞっ」と顔を真っ赤にさせて怒る。
とりあえず体勢を立て直して翔ちゃんと座って向き合う。
なんの前触れもなく、ぶにゅ、っとほっぺたを両手潰した。
「にゃにしゅんだよっ」(※なにすんだよっ)
「ふふっ、翔ちゃんってやっぱりバカだなぁって思ってさ」
「にゃんだとうっ!俺はバカじゃにゃい!」
(※なんだとうっ!俺はバカじゃない!)
「馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃん?」
「……??」
イマイチよく分かってないのか首をかしげて私の言葉を待っている翔ちゃん。
その姿さえも愛おしいと思ってしまう私は重症だろう。
「翔ちゃんのそーゆーところも含めて大好きってこと!…不安にさせてごめんね??」
ちゅ。
額にキスを落とす。
パッと手を離すと、すてててーん、っと後ろに転がっていく。