第2章 影山飛雄
この際だから聞いてみようと思えた。
…私たちの関係のこと。
「影山くん」
しっかりと目を合わせる。
「…わ、私たちって恋人だよね…?」
「…は?なに言ってんだよ」
キョトンとした顔の影山くん。
あぁ、私の勘違いだったのか、と悟り、自傷的に笑う。
「そうだよね。勘違いも甚だし、」
「当たり前だろ」
途中で遮られたのは意外な言葉だった。
「へ?」
「俺はそうだと思ってるし、だから一緒にいるんだろ」
当たり前だ、と言わんばかりの影山くんの態度は私を嬉しくさせた。
「あ。…で、でも」
「何だよ」
一つ聞き忘れてたことがあった。
「私、まだスキって言われたことないよ…?」
「そ!?…そんなもん言わなくてもわかんだろ」
顔を真っ赤にして口元に手を当てる姿を見て、恥ずかしいんだな、とはわかったけど一度でいいから聞きたいと思った。
「…言わなくちゃわかんないよ」
「…す…だ…」
「…え?なんて??」
「…だから!ぁあ"!クソッ!!」
「…好きだっつってんだろ、ボゲッ!」
ボゲェ、ゲェ、ゲェ、…とこだましていく。
私は笑顔で影山くんに飛びついた。
「…私も大好きだよ、飛雄っ」
…やっと聞けた。
キミのスキ。
「…ボゲ」
優しいキミの愛の言葉。
Fin.