第2章 影山飛雄
あれ?
私、何してるんだっけ?
…何の抵抗もなく心に入ってきた言葉。
影山くんに嘘ついて、こんな怒らさせて、私は何がしたかったんだっけ??
「お前、俺だけ何かよそよそしくないか?」
「…へ?」
「だって、そうだろ」
影山くんは糸が切れたように一気に話し始めた。
「前々から思ってたけど、
何で日向だけ翔陽とか呼んでんだよ!
下の名前でよばせてんだよ!!
俺はいつだって苗字に君付けじゃねーか。
何でアイツと…月島とベタベタしてんだよ!
月島はお前の何だよ?!
…なに他の男に触らせてんだよ…」
最後の言葉がとても弱々しく吐き出され、影山くんじゃないみたいだった。
肩で息をしながら影山くんは顔をしかめて足下に視線を向けていた。
「…影山くん」
呼びかけるとばっとこっちを見て、やってしまった、と顔に書かれていた。
「もしかして、…ヤキモチ妬いてくれたの…??」
そう言ったら、ぼっと影山くんの顔が赤くなって。
「悪りーかよッ!」
…開き直った。
それすらも愛おしいと思ってしまう私は親バカならぬ、【影山くんバカ】だろう。
「…ううん。悪くない」
ヘヘッ、と笑ってみせた。