第2章 影山飛雄
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ガン、
影山くんは乱暴に屋上の扉を開けると、掴んでいた手を離した。
チャイムの音がぼんやりと聞こえた気がした。
「…おい」
「な、なにかな?」
怒気を含ませた声にびくりと肩が跳ねる。
「さっき、アイツと何話してたんだよ…」
「…アイツって…?」
痛いところをつかれたのでワザとトボけてみせた。
すると、影山くんの目がギンっと鋭くなった。
「月島に決まってんだろ!」
「ぁ、…ぅぅ、…」
「で、何話してたんだよ?」
なんて答えようか戸惑う。
私の素を言わないでってお願いしてたこと?
…むりむりむり。
そんなこと影山くんに言ったら元も子もないし。
「…えっと、ね?…何も話してないよ」
とっさに嘘をつく。
「あ"??」
わかりやすい嘘を吐いてしまったので影山くんの顔がより一層険しくなった。
「…って言うのは嘘で、じ、実は、……ただの世間話デス」
目がとてつもなく泳いでいる私は挙動不審、そのものだろう。
そんな私をみて影山くんは深いため息をついた。
そして、少し、いや、静かにかなり怒っている顔で私を見据えた。
「…新垣、…お前マジで何なんだよ」
ストンと影山くんの言葉が心に落ちてきた。