第2章 影山飛雄
「新垣が、」
ホタルが何か言おうとしたが、悪い予感がして慌てて止める。
「ちょ、ちょっと。つ、月島くんっ!」
「え?何かまずかったっけ??」
小声で二人でこそこそと話す。
…ホタルが小声で合わせてくれてるからまだ許そうと思うが、ニヤニヤしているからやはりムカつく。
「こら、ホタルっ!」
「だからさ、ホタルじゃないって言ってるよね?ほんと頭悪いよね」
ほっぺたの両側をひっぱられたので、ひっぱり返す。
端から見たら凄くへんな子だろう。
翔陽と山口くんと影山くんたちは会話が聞こえていないので不思議そうにみている。
「…は、はにゃふぃへ」(⚠︎…は、離して)
「はにゃへ」(⚠︎離せ)
「…行くぞ」
強引に影山くんに手をひかれ、何処かに連れていかれる。
山口くんと翔陽は「えっ?!」と、驚きの声をあげた。
ホタルはほっぺたをさすりながら、全て見透かしたように通常運転の意地悪な顔をして笑っていた。
「…か、影山くん…?」
話しかけても無言でどんどん進んでいく。
「きょ、教室こっちの方向じゃないべ…?」
「知ってる」
不思議に思って再び話しかけてみたら、不機嫌で真っ直ぐな声が返ってきた。
「…授業はじま、」
私の言葉を遮るかのように更に強く手を握られた。
それっきり、いくら話しかけても答えてはくれなかった。