第1章 澤村大地
泣き止んだ後、廊下のわきに座り直した私達。
「…もしかしてスガが原因か?」
開口一番の言葉。
あながち間違っていないが原因は私にある、と今までの事を全部大地さんに説明した。
話を聞き終わった大地さんは、
「…俺が原因か」
悲しそうに笑った澤村。
「ゔぅ、いや私の気持ちの問題というか…」
ギュッと手を繋がれた。
「そんなことなら、もっと早く手ぇ出しとけばよかったな」
やっと手を繋げた喜びと澤村の言葉に感激した新垣はまたポロポロと涙が出始めた。
「え、?今の俺そんなにキモかった?…ごめん、そんなつもりじゃ「う、嬉し泣きです!」
澤村の言葉を遮り今度こそはちゃんと気持ちを伝えようとした新垣。
「大地さんと触れ合えて嬉しいんですぅ」
今までの恥じらいなどなかったかのように子供の様に泣く。
「そっか…」
何処か嬉しそうに澤村は言ったあと。
チュ、
新垣の涙を吸い取るかのように瞼や頬にキスをふらす澤村。
「ぇ、だ、大地さ…」
澤村を呼び止めようとしたがまだやめない。
完全に涙は止まってしまった。
「俺と触れ合いたいんだろ?」
艶やかな大地さんの姿に思わず顔を熱くさせてしまった私は何も言えなくなる。