第1章 澤村大地
「なぁ。俺何かしたか?」
唐突に大地さんの悲しい声が聞こえてきて顔をあげると、眉を下げて悲しそうに笑っていた。
(あぁ、何て私はバカなんだ…)
罪悪感がフタを開けたみたいに溢れ出してきた。
(大地さんにこんな顔させるぐらいなら、いっぱい喋って側にいたらよかった…)
澤村の問いかけに弱々しく新垣は首を横にふった。
…まるで後悔の念を振り払うかの様に。
「ち、違うんです…違うんです」
何故だか分からないが涙が溢れて止まらない。
そうすると、温かい手が私の頭を慰めるように撫でられる。
しばらく私のすすり泣く声だけが廊下に響いた。