第1章 澤村大地
*
必死に足を動かして廊下を突っ切る。
周りの人の視線なんか関係ない。
しばらく走って、もう大丈夫だろうとスピードを緩めたら、
「沙奈っ!!」
「!!」
大地さんが息を切らして私のところへ走ってきている。
反射的に走りだしてしまった。
「あ、こらっ!」
それを見た大地さんは可愛らしい怒り方をした。
走りながらも胸キュンさせられるなんて、さすが大地さん。
*
あれから2分もしない内にとうとう私の体力の限界がきてしまった様だ。
(…ってゆーか、ココどこ。頭、酸素まわんない)
周りにいたハズの生徒はもういなくて、よく分からない校舎だし…。
「あっ」
足がもつれてコケそうになる。
「!…セーフだな」
どうやら大地さんが後ろから抱きかかえて支えてくれたらしい。
「あ、ありがとうござい、…あ」
ばっちり目が合ってしまった。
さらに澤村と密着しているという事実に新垣は心臓がバクバクと激しく脈打つ。
走ったせいかもしれないが、否、大地さんのせいだ。