第1章 澤村大地
…あの日から3日程経った。
新垣は頑張って寂しさを紛らわすかの様にバレー部やクラスメート、先生にまで絡んでいた。
…今日もまた、
「武ちゃーん!!」
大きな荷物を抱えて通り過ぎようとしたバレー部の顧問である武田先生を見つけた新垣はブンブンと大きく腕を振った。
それに気づいた武田はニッコリと笑う。
「新垣さんはいつ見ても元気ですね。今から部活ですか??」
「うん、今から行くとこー。武ちゃんも荷物大変そうだね」
「6限目の授業で使ってましたからね」
なんとも穏やかな会話をしていると武田がふと新垣の後ろに視線をずらした。
「澤村くん!丁度いいところに」
後ろを振り向くと澤村がいて目が合いそうになった新垣は全力ダッシュで逃げた。
「た、武ちゃん!またね、バイバイ!」
「え!?新垣さん??」
困惑した武田をよそに足の速度を上げる。
しばらくポカンとした武田は、ハッと気づき澤村を見る。
澤村がこちらにむかって歩いてくるので用件をいおうと、
「澤村くん。部活のことなんだけど、」
「すみません、先生。後にして下さい」
ビクゥゥうう!!!
澤村の不機嫌な口調に加え、据わった目に武田は背筋に悪寒が走る。
「…りょ、了解です」
新垣を追いかけて走って行った背中にむかって武田は小声で返事をした。