第1章 待ち遠しいその日
「万事屋さん、私って可笑しいと思う? あの『鬼の副長』でさえ泣いてるってーのに、私は親友の為に一滴の涙も流せないのよ。」
「別に良いんじゃねーの? 泣きたい時にゃあ泣けば良いけどよォ、泣けない時は泣かなくても大丈夫だろ。そんなもん、自然とそのうち出てくるって。」
「出てこなかったら? それは私が薄情だって言う証拠?」
「そりゃあオメーが強ぇ女だって証拠だ。」
間入れずに答えた銀時の言葉が心に響く。そうか、大丈夫なのか。泣けない自分は世間一般からは白い目で見られるのかもしれない。しかし一人でも自分の心境を認めてくれる人がいるのならば、それで良い。京を肯定してくれる人がいるのならば、それで十分。
「冷たい人間なのかもしれない」と思っていた自分に対する失望は、銀時のたった一言で友との再会を心待ちにする待望へと変わってしまった。まだまだ先の予定だが、今からでもミツバとの再会が待ち遠しい。
いつかミツバの為に泣く日が訪れるのなら、その時は精一杯涙を流そう。もし泣けずに親友とあの世で会えば、その時は再会の涙を精一杯流そう。京はそう胸に誓った。