第1章 待ち遠しいその日
「うーん、無理だね。人の胸を借りれば泣けると思ったんだけど、駄目だわ。いや、『少しは周りを頼ってみろ』ってミツバに言われてさ。頼ったら泣ける気がしたんだけど駄目だ、やっぱり。万事屋さんじゃ頼りがいが無いって事かしら。」
ガッカリだ、と京は切り捨てて屋上を後にする。
随分と失礼な発言を残されて、あっさりと去られたが、銀時の頭はそれどころではなかった。今のは何だったのだろうか。何だか若かりし頃にも体験したような甘酸っぱくも懐かしい感覚。
「え? 何コレ?」
命の終わりを目の当たりにした悲しい日は、同時に何か新しい始まりを告げる日となったようだ。