第1章 待ち遠しいその日
決意をすれば自然と胸の奥が熱くなる。湧き出る感覚は侵略するように、京の目にも熱を送る。涙が出るような、出ないような妙な感覚。
「あ、何かいけそうな気がする。」
「何が?」
「万事屋さん、ちょっと立って。」
「んだよ、ったく。」
目頭を押さえながら京は自分と銀時を立たせた。よっこらしょ、とオッサン臭い立ち上がり方をした銀時は京の行動を待った。すると、京は銀時に勢いよく抱きつく。突然の出来事に銀時は固まった。
一体この話の流れのどこに抱きつく要素があっただろうか。まさか気が狂って銀時をベアハグと言う古いプロレス技で絞め殺すつもりなのだろうか。それとも本当に銀時の胸で泣くつもりなのだろうか。真選組で働いているだけあって普段は色気を感じさせないこの女が、一丁前に可愛く涙を流すつもりなのだろうか。いやいやいや、どうせ泣き方も汚い面しているんだろう。第一、こんな可愛げの欠片の無い女に抱きつかれた所で、トキメクわけが…………あれ?