第38章 物好き
私は彼に伝えようと思った
上手に言えなくてもいいから
自分の言葉で伝えようと
「仕事とか関係なく
人の基本は変わらないと思うんです」
大倉「基本?」
私は自分の言いたい事を整理しながら
ゆっくりと話していた
「私は
色々あって暗くなっていましたが
大倉さんに会って
笑えるし、楽しいって感じられるし
そして......」
私は彼を見つめた
彼は話す私を優しく見ていた
「また、愛する事ができたし.....
前と変わってないなぁって」
彼は嬉しそうに
大倉「そっか.....」
「だから
その仕事で色んな経験はしたけど
大倉さんっていう
基本は変わらないと思うんです」
私は自分の胸が
熱くなっているのを感じていた
「誰の心でも
温かくさせれる人だと....」
大倉「そっか...
ありがとうな」
彼は嬉しかったのか
繋がっている手を大きく振り出した
その様子が本当に可愛かった
私も自然に笑顔になっていた
大倉「ほんまに、変わったな....」
私は驚いて見た
大倉「めっさ可愛くなった」
私の顔が熱くなる
大倉「誰かに取られてしまいそうや....」
その言葉に私は笑った
「そんな根性の入った
物好きはいませんから....」
彼は一瞬
私の言葉を考えて
大倉「俺は根性の入った物好きか?」
「かなりの....」
私は笑いながら言うと
彼は照れながら笑った
今の自分があるのは
彼のおかげだと感謝していた
だから、何があったとしても
この心は揺らぐ事はないと自信があった
これから先の事なんて知らずに