第38章 物好き
しばらく三人で歩きながら
楽しく話していた
すると彼女は静かに頭を下げて
「私はこっちなので」
もう一つの方向を指さしながら言った
「うん、今日は本当にありがとう」
私の言葉に
彼女は返事の変わりに静かに首を振った
大倉「バンド頑張れよ」
彼の言葉に彼女はニッコリ微笑み
「そしたら、また明日.....」
軽く頭を下げると
指した方向に歩いて行った
私と彼は彼女を見送った
大倉「さて
俺たちはどうしましょうか?
シンデレラ」
彼が突然に茶化してきた
「そう言うのは、やめてもらえません」
私が怒って言うと
彼は笑いながら私の手を握った
大倉「ごめん、ごめん
もう少しだけええん?」
そう言いながら歩き出した
私は少し拗ねながら答えた
「アカンって言ったら?」
さっきの仕返しのつもりで彼に言うと
大倉「まぁ、
無理矢理でも連れて行くかな」
「なら、聞く意味ないですよね」
大倉「そうやな」
彼も私も微笑んでいた
すると
大倉「俺が会いたいから店に行ってた事が
そんな事になってたなんてな....」
私は驚いて彼を見た
彼は不思議そうに見つめ返して来た
大倉「どないしたん?」
私は少し呆れていた
「もしかして....」
大倉「うん?」
私はため息をついた
「自分がどれほど
女の子をときめかせてるか
知らないんですか?」
私の言葉に彼は
少しだけ笑い
大倉「それは、仕事でやろ?」
私はその言葉に少し考えた
私の様子を彼は見て
優しく微笑んでいた
大倉「この仕事してなかったら
俺なんて.....」
彼は寂しそうに言った
「それでも、大倉さんですよね.....」
私はキッパリと言った