第29章 動き出す
その日から私は
彼が来る事を信じて待っていた
彼からは電話すらなかったが
信じて待っていた
私は
暗闇など怖くなかった
孤独も怖くなかった
私が何よりも怖いのは.....
人が去ること
もう二度と会えないこと
だから待つ事などは怖くなかった
そして彼なら
ちゃんと受け止めてくれると
信じていた
信じたかった
この恋こそは幸せになると
今日も仕事を終わらせ帰り道に着いていた
彼は来なかったとため息をつきながら
そして
彼は元気でやっているのか?
私を心配し過ぎて
仲間に迷惑をかけてないかなぁ?
とか考えていると
いつもと違う違和感を感じのだ
私はいつの間にか誰かに後ろを
付けられていたのだ
後ろに足音がついてくる
考えすぎではない
角を曲がると足音もついてくる
恐怖で振り返る勇気はなかった
私が出来るのは逃げる事だった
だから、私は暗い道を駆け出した
すると
大倉「ちょ、俺やって!
待って、逃げるなって!」
その声は私を必死で追いかけてくると
私の腕を掴み
やっと私の足がやっと止まった
勇気をだして振り向くと
照れ臭そうに彼が立っていた
大倉「よっ!」
軽く手を上げながら言った
彼を私は無言で睨みつける
大倉「えっ、やっぱ怒ってる?」
彼は驚いた顔で私を見た
「痴漢かと思ったじゃないですか!」
私は涙目で彼に怒っていた
そんな私に
彼は焦り始めた
「なんで
直ぐに声をかけなかったんですか!」
私の怒りは止まらない
彼に会いたかった
会いたくって
会いたくって
そうずっと願って
やっと願いが叶って
会えたのに
なんでこんな風に
それが怒りの原因だった
会えたのに
とても悲しかった