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モノグラム

第27章 秘密





そんな私を見て彼は

自分の座席に深く座りなおすと

前を向きながら

ため息を深くついた




大倉「ほんま、俺ってアカンなぁ....」


その言葉に私は彼を見た

彼は視線を前に向けたままで


大倉「好きな人の事を何にも知らんし....

泣かせてばっかや.....」



その言葉が

本当に辛かった





私が言えないだけ....


彼は何にも悪くない....


彼に伝えたかった

でも

私にはその勇気が持てなかったのだ



しかし

このままでいれない辛さが

私の胸を絞めつけ続けていた



「.....あのぉ」



私は彼に聞いてみようと思った

少しだけ....



大倉「うん?」



彼は優しく返事をしてくれた



「もし、もしですよ.....」



私が勇気をだして言いかけた時だった

彼のスマホから着信音が響いたのだ

彼はスマホの画面を見ると



大倉「悪い、ちょっと待っててな」



そう言うと

急いで車の外に出て行ったのだ



一人車内に取り残された私は

ため息をついていた



私は

彼の傍にいるべき人なんだろうか?

彼に強引に引っ張られて

今まで過ごしていたが


彼を思っているなら

別れるべきなのだろう


そんな事を考えながら

自分の左肩をそっと抱いていた



彼が電話を終わらせると車内に戻ってきた


大倉「話の途中でほんまに、ごめんな」


申し訳なさそうに言いながら

静かに運転席に座った



私は自分の鞄の取っ手を強く握りながら



「今日は、そろそろ帰ります....」



大倉「えっ、話があったんやろ?」



驚きながら私の手を掴んだ

その手を見つめながら私は微笑んで


「次回に話しますね

それでは、おやすみなさい....」


その言葉を残して車を降りて

振り向かずに小走りで彼の元から去った



彼がどんな表情をしていたのか

見るのが怖かったのだ


そして

私がまた泣いているのを知られたくなかったから



私は

大きな決断を前にしていたのだ

それを言える勇気を手にしていなかったので

決断の答えに涙して

一人で帰り道を歩いていたのだった





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