第27章 秘密
安田さんは
車で待っている彼の所まで案内すると
彼が座っている運転席の窓を軽く叩いた
すると彼が窓を静かに開けた
安田「連れて来たでぇ」
微笑みながら言う
安田さんに彼は不機嫌な顔を見せながら
大倉「遅いやろ
お前何をしてた?」
安田「はぁ?
心配し過ぎやわぁ
あんなにメールを送りやがって」
安田さんは呆れながら言っていた
何も言わずに私は助手席に静かに座る
それを安田さんは知ると
安田「ほんなら
俺の仕事はここまでやねぇ
おやすみ~ぃ」
そう言うと
隣に停めていた自分の車に乗り込み
帰って行った
二人きりになったが
でも私の心は落ちていた
安田さんに言われた言葉が
胸に引っかかっていたから
その変化を彼が見逃すわけはなった
大倉「どうした?なんか暗いで」
無言で首を振った
大倉「なぁ...なんかあったん?
ちゃんと話してや」
心配そうに彼は顔を覗き込んでくる
私は自分の手が震えていた
不安げにそっと彼の顔を見る
彼は私の本当の姿を知っても
まだ思ってくれるのだろうか?
彼なら
もっと相応しい人がいる
こんな大きな傷を持っている女じゃなくて
私が何も言わずに見つめていたので
彼の顔はどんどん不安そうになって
心配のあまりに私の肩を掴んできた
大倉「ほんまに、どうしたん?」
彼に隠してある傷の所を掴まれて
私の心に激しい痛みが走った
彼の手を強引に払いのけると
彼は突然の事に驚きながら
私を悲しそうに見た
大倉「.....ごめんな」
彼の消えそうな声に
私の胸は、どうしていいか分からず
無言で首を振り続けていたが
左肩を自分で抱きしめた
大倉「肩が痛いんか?」
「........」
私は俯きながら涙を流していた
大倉「ごめんなぁ
知らんかったから....」
言葉をださずに首を振り続けた
どうしても言葉がでなかったから