第26章 作戦
その日から、彼と私の会う場所は
人目のつかない所を選ぶようになっていた
それよりもっと大きく変化していたが
私の職場の方だった
彼が来ていただけで
深夜にファンが殺到していて
仕事が増えてしまったのに
今では.....
私は大きくため息をついて
客席を見た
彼は楽しそうに
安田さんと丸山さんと食事を取っていたのだ
彼とメンバーの人が順番のように
私の店に来て食事を取り出したのだ
おかげでお店は繁盛してるし
同僚たちの仕事のやる気も凄いが
お客さんの黄色い声も凄かった
私は自分の位置が
どれだけ奇跡的な事かを思い知らされていた
もちろん
私と彼との関係がバレてはいけないので
お互いに客と店員を貫いていた
私がオーダーを取りに行く客席は
彼のファンの場所ばっかりだった
相変わらず同僚が彼の席を取るからだ
でも
今の私たちは以前と違っていた
彼の席の近くを歩く度に
何度か目が合う
それが、気恥ずかしく
でも嬉しかった
そして仕事が終わると
一緒に来ている安田さんが
彼が待っている場所に案内をする為に
店の前で待っていてくれた
安田「お疲れさ~ん」
「遅くなって、すいません」
私が小走りで駆け寄ると
安田さんは優しく微笑みながら歩き出した
私は、安田さんの背中を見ながら
ついて歩くと
優しい声で言ってくれる
安田「ええんよ」
そのトーンが私を安心させる
「昨日は渋谷さんだったのですが
お互いに無言でした」
安田さんは小さく笑いがら私を見た
安田「渋やんは、人見知りやからなぁ」
「そうみたいですね
私もですが.....」
安田「そうなんや」
安田さんは
楽しそうにクスクス笑っていた