第25章 アカン二人
彼は強い口調で私に伝えたのだ
大倉「絶対に、アンタとは別れへん」
「........」
私は彼を見つめ続けた
大倉「やって俺、惚れてるし...」
そう言うと照れ臭そうに笑ったのだ
その彼の表情に
言葉に
私の動揺の速さは増した
「でも、私は....」
焦っている私の前に力強く掌を見せると
大倉「分かってるし
前の彼氏が忘れられんことも」
その言葉に私の胸は痛んだ
大倉「そんな事はええ
俺がアンタと離れたくないから
やから、これからも会い続ける
それだけ....」
彼は自分に言い聞かせるように
言っていた
「でも、それは....
マネージャーさんの考えに反します」
大倉「大丈夫やから
俺に任せといてくれんかな?」
そう言いながら私の頭を優しく撫でた
「本当に強引ですね.....」
私は撫でられながら目を伏せた
大倉「そんな男はアカン?」
彼は不安げに私を見つめていた
「アカンと思います....」
大倉「そっか、アカンか....」
ガッカリした表情に彼はなったのを
見逃さなかった
「アカンですね....」
私はそう彼に告げながらも
手は勝手に動き
そっと彼の服の袖を握ったのだ
その事に気が付くと彼は
大倉「ほんまに、素直ちゃうなぁ...」
嬉しそうに言った
私は正直照れ臭かった
自分でも何故そんな事をしたのか
分からなかった
恥ずかしかったから
少し膨れ面をしながら
「そんな女はアカンですか?」
彼は優しい笑顔になったと思うと
大倉「必ず、振り向かしたるから
覚悟しとけよ」
そう言うと同時に私のおでこを軽く押したのだ
私は押されたおでこを押えながら
彼を睨んでいた
その私を彼は笑っていた
私は嬉しかった
この人の笑顔が
何よりも嬉しいと感じていた
そして、この人の傍で
この笑顔に包まれていたいと
願い始めていた
恋の魔法にかかり
少しだけ彼に素直に
なり始めたのだった