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モノグラム

第25章 アカン二人





 どれだけの時間を二人で

沈黙していただろうか?

狭く薄暗い車内で二人で過ごしていた




彼は自分の考えが纏まったのか

静かな声で話しかけてきた



大倉「なぁ?」



「はい....」



彼はそっと私の手を優しく握ると



大倉「俺が本気やったらさぁ

どうする?」



「.......」



私が返事も出来ずに無言で見つめていると



大倉「本気で思ってたら?」



彼は恥ずかしそうに俯きながら言ったが



「煩わしいのは嫌なんで.....」



私の冷たい言葉に彼は顔を上げた


「本当に嫌なんです

こんな煩わしいの....」


そう言っている私の声が震えていた

自分の気持ちを必死で抑えようとすると

余計に感情が溢れ出し

涙がこぼれだした



そんな私を切なそうに彼は見つめると



大倉「....ほんま

素直ちゃうんやから...」


言うなり

私を優しく抱きしめたのだった



彼の胸に顔を埋めながら

必死で彼への感情を抑えていた


私が自分の気持ちを伝えると

余計に彼を困難な道に進めてしまうから




私たちが選ぶ道は

別れなのだから....




私の気持ちを彼は分かっているのか

優しく抱きしめ続けたのだった






 しばらくして

彼は少し私を身体から離すと

険しい表情になった


大倉「俺、決めた.....」


私は彼を涙を拭きながら見つめた

彼が何を決意したのか

胸をざわめかせながら

言葉を待っていた



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