第22章 花火
二人は、それぞれに夜景を見ていた
今は何を話しても虚しくなってしまうのを
お互いに分かっていたから
何も話さず綺麗に光ってる夜景を見ていた
そこに
両手に花火を一杯買って来た
安田さんが現れたのだ
安田「やっとおったぁ」
安田さんは少し疲れた様子で
私たちの間に座り込んだ
大倉「ご苦労さん」
「たくさん買って来たんですね」
私は、安田さんの持っている
花火を見ながら言うと
安田「おん
どれがええか分らんかったからさぁ」
私と話している最中に
彼は花火の袋を安田さんから取りあげて
中をあさりだした
「それで、こんなに....」
私が少しビックリしていると
安田「これなら、絶対に楽しめるやろ?」
私に嬉しそうに微笑んだ
もしかして
私の好みが分からなかったから?
だからこんなに?
大倉「やけど...
こんだけあったら、朝になるんちゃうん?」
彼は安田さんに笑いながら言った
安田「そんなわけないやろぉ?」
少し拗ねた口調で反論する安田さんに
「まぁ、たっぷり2時間は楽しめますね」
私までもがそう言うと
安田「え~っ、二人してなんなん」
とうとう安田さんは拗ねた顔になったが
彼は知らん顔して
大倉「まぁ、とりあえずは花火を始めようか」
彼は何事もなかったように
ライターを取り出しながら
準備を始めたのだ
安田「ちょ、俺が一番やろ?」
安田さんは彼からライターを奪って
花火に火を付けようとした
大倉「誰が決めたん」
彼は、強引に奪い返そうとする
安田「俺が買って来たんやから
権利はあるやろ?」
安田さんは奪われないように必死になっていた
大倉「なんなん、その権利は?」
彼もふざける事に意地になっているようで
二人でライターを掴み合っていた