第20章 心の中は
店を出た私たちは
何も話さずに歩いていた
誰もが空気が重くて口が開けなかったのだ
すると
駐車場の車の前に来ると
彼が何かを思い出したように言った
大倉「あっ、ヤス!」
安田さんは急に呼びばれて驚きながら
安田「な、なん!!!!!」
大倉「花火をしたいからさぁ
来る時にあったコンビニで買って来てやぁ」
言うなり
車の鍵を安田さんに放り投げた
安田さんは、鍵をキャッチすると
安田「えっ、俺だけで買いに行くん?」
不安そうに言った言葉に彼は
大倉「じゃぁ、俺と彼女で買って来るから
お前がここで待っててや?」
意地悪そうに言いながら
また安田さんが持っている鍵を奪い返す
その事にちょっと悲しそうな顔をしながら
安田さんは、また鍵を取り返し
安田「どっちにしても、俺は一人やんかぁ」
そう言いながら運転席の鍵を開け始めた
大倉「どっちがええん?」
彼はあくまでも冷たく言った
その言葉に降参したのか
安田「ほんなら、買いに行ってくるわぁ」
その言葉の後に安田さんは
静かに車に乗り込むと出かけて行った
私と彼は駐車場に残って見送った
大倉「さて
邪魔者はしばらく戻って来ないな」
彼は少し笑いながら言った
その彼に私は呆れていた
「本当に悪い人ですね....」
大倉「....アカン?」
私を嬉しそうに見つめたが
そんな彼を睨みながら
「アカンと思います....」
私の言葉に彼は
静かに背中を見せて歩き出した
「どこに行くんですか?」
背中を追いかけながら聞くと
大倉「ここに居っても退屈やろ?
蚊に咬まれるだけやし」
「まぁ....」
大倉「ヤスが帰って来るまでな....」
そう言いながら歩き続けるので
私は何も言わないでいた