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モノグラム

第17章 関係





 何も言わずに彼を見つめている私に

気が付くと、不愛想に彼は言った



大倉「ちょっとだけ、ドライブ」


「.....」


私は彼を睨んだ


大倉「なん?」


その言葉に答えずに、窓の外を見た


大倉「呆れてるん?」


「かなり.....」


私の返事に彼は答えずに運転を続けたのだ



その彼の姿を見て思っていた






前の彼とは喧嘩すらした事はなかった

話も合っていたし

同じ学生だから時間も

いつも一緒だった



どこかで私は比べ始めていた

そんな自分に首を振ると


私の様子を気にしていたのか


大倉「ねむいん?」


優しい口調で聞いてきた


「少しだけです....」


私の言葉に小さくため息を漏らすと


大倉「ほんま悪かった、今から送るから」


その後は何も言わずに

家の前まで車を走らせた



家の前に着くと彼は寂しそうに

俯きながら話しかけてきた



大倉「ほんなら、またな....」


そんな彼に私は

ため息をつきながら降りた


いつもならそのまま家に入るのだが

運転席に回り

そっと窓ガラスを叩いた

その事に彼が驚きながら窓を開けた



「これ....」


私は、一枚のメモを彼に手渡した

彼がその紙を不思議そうに開ると同時に


「明日、起きたら連絡をください....

仕事は休みなんで....」


私はそれだけを伝えると

急いで家の中に入った




自分の胸が高鳴っているのを

抑えながら

彼が家の前から

去って行く車の音を聞いていた



私は、彼の仕事を理解しているから

絶対に負担にはなりたくなかった



でも....

いつも彼を待っている自分からは

抜け出したいと思っていたのだ



ずっとカバンに持っていた

電話番号をメモにして

渡すチャンスを待っていた




私は片思いの人に告白したような

不安な気持ちになっていた



私たちは、友達なのか

それとも恋人なのか




私たちは一度も

お互いの気持ちを確かめた事はなかった


どちらも気持ちを伝える事をせずに

不安定な関係を進んでいたのだった


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