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モノグラム

第17章 関係






 無言になると

その音が余計に車内に響き

それが私たちのイライラを強めていた


「返事しないんですか?

かなり鳴ってますよ」


彼の横に置かれているスマホを

私は見ながら嫌味のように言った


大倉「分かってるわ

さっさと片づけるから!」


怒りながら言うと

彼はスマホを持つと外に出て

電話し始めたのだった




私は車の中で彼を見ていた

この誰もが振り返るアイドルを

静かに見つめていた



彼は電話の相手に

不機嫌になっているようだ


顔が完全に怒ってる

本当に喜怒哀楽が分かりやすい




本当は忙しいのに

私との時間を作ろうとしている事が

簡単に分かってしまう



あんなにスマホを触って

誰かと連絡を取っているのに

暇なはずはない


彼の仕事を理解もしている


本当に休みかも知れないけど

あんなに連絡が来るなんてなかった


何を隠してるんだろ

彼女でもない私に話すはずもないし

私が聞く権利もなかった



私は大きなため息をついていた



彼はスマホをポッケトに直しながら

少しイライラした様子で

車に戻って来た


運転席に座るなり口を開いた


大倉「ホンマにアカンの?」


「ほんまに....」


私の返事に今度は彼がため息をつく


大倉「ほんま、なんやねん」


彼は拗ねた子供のようになっていた

そんな彼を呆れながら



「怒っても駄目ですから」



大倉「わかってる....」



「そうですか....」




彼は大きなため息をついた

わざと聞こえるように


私の方は、その音すら無視すると



突然、車のエンジンをかけたと思うと

荒く車を走らせたのだ


私は驚いて彼を見つめていた

こんな彼は今まで見たことがなかったから



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