第14章 償い
私は誰の顔も見れなかった
そんな私に彼は小さく笑うと
大倉「俺には過去は関係ないし
本人の口から聞いてない事は
鵜呑みにせんからさぁ
でもさぁ...」
静かに笑い続けながら彼女を見た
「なんです?」
彼女は不思議そうに彼を見た
大倉「その男があんたを選べへんかった
気持ちはわかるかな」
彼女が困惑した顔になった
大倉「やって、親友をそんな風に言う
女は愛せんもん」
そう言いながら笑ったのでした
彼女は、まさかそんな風に言われると
思ってなかったから顔を真っ赤にした
でも彼は、静かに彼女を見つめていた
彼女はこれ以上何も言えなくなって
私を睨みつけると
その場から走り去ってしまったのだ
残された私は
彼に何を言うべきなのだろうか
必死で考えていた
すると
大倉「ごめん、腹立ってやっちまった」
そう言うと笑ったのでした
そんな彼を見ながら私はため息をついた
「彼女の言ったのは本当なんです....」
自分の口で打ち明けた
彼は静かに私を見つめる
「私が、急がした為に....
恋人だった彼が事故をおこして
私だけが助かったんです....」
私はそれだけ言うのがやっとで
彼の顔が見れずに俯いた
すると彼は優しく手を伸ばすと
私の頭を撫でた
大倉「やから、必死で自分を殺してたんか?
ずっと....」
私は答えられなった
でも、拒否もしなかった
大倉「もう充分に罪は償ったんとちゃうん?
俺はそう思うけど....」
その言葉に私は首を振った
すると彼は大きくため息とつくと
突然、私を抱きしめた
大倉「なら、俺も一緒に償うからさ
早く笑顔を取り戻そうやぁ」
抱きしめられた彼の温もりを感じて
私は泣いた
彼の優しさに
今までの孤独に
彼の胸で声をだして泣いた
彼はただ、泣く私を優しく受け止めるように
強く抱きしめ続けてくれたのだ