第13章 涙
私はおもむろに彼に言った
「変態ですか?」
大倉「ち、違うわ!!!!!!」
私は、彼の怒る姿に少しだけ笑っていた
大倉「笑ったな....」
彼は優しく微笑みながら私を見る
それが温かく感じる
「本当に変なアイドルですね....」
大倉「そんなアイドルはアカン?」
彼は、少し拗ねた顔をした
「仕事の時は、あんなにカッコいいのに....」
私の言葉を聞いて
彼の頬が一瞬で赤くなった
「照れているんですか?」
大倉「うるさい! 褒めたん初めてやろ?」
言葉の通り
いつも、文句しか言ってなかった
本当に最低な女だ
「そうですね....」
そっと私の顔に手が伸びてきたと瞬間
頬を軽くつねった
大倉「そんな顔をせんの」
私は驚いて彼を見た
彼は優しく微笑んでくれた
その時
私の過去が思い出された
私が殺した彼の微笑みを....
私は彼を突き飛ばしていた
驚いた彼は私を見ていた
「ご、ごめんなさい....」
彼のその表情が私の胸を絞めつける
素直になれない自分が辛く
悔しかった
私の目に涙が溢れ
その事に彼は驚いた顔をしながら
大倉「そんなに嫌やなら
絶対にせんから....」
私は、首を振りたかった
違うと言いたかった
でも、私は彼の愛を受ける事は
出来ないのだ
私の目から涙が落ちた
あの日から私は
泣くことも許されない
だから、どんな辛くても泣かなかった
なのに涙が止まる事無く溢れていた
「....お願いします」
そう言うのが私はやっとだった
大倉「ほんまにごめん
泣かすつもりちゃうかってん」
明らかに彼は動揺していた
手を出したいが、私が拒否するので
彼は手を強く握りしめていた
私は、こぼれてくる涙を必死で拭いた
心配そうに見ている彼のために
早く涙を止めったかったのだ
自分の出来る事は
彼に出来る事はこんな事しかない
だから必死で涙を拭いていた
私の目の前で辛そうに立っている
彼の表情が
私の胸に悲しみを増やしていたのだ