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モノグラム

第11章 変化




 彼は、安田さんと丸山さんを睨んでいた

その姿を見て私はため息をついた



「私、そろそろ帰りますので....」



煩わしくなる前に逃げたかった



大倉「おん、ほんまに今日はありがとう」



「いいえ...」



私は彼を見つめた

私と会う時の彼に戻っていたから


なせか、その顔にホッとしている

自分がいた



大倉「うん?」



「いいえ、何もありません」



彼には何も告げられなかった

不覚にも仕事中の貴方にときめいたとは




丸山さん安田さんに頭を下げると

彼に背中を向けて私は歩き出した






 私が車に乗り込もうとした時だった

彼が開けようとした車の扉を

強引に抑えたのだ


私は驚いて彼を見つめた



大倉「何を聞いたか知らんけど

俺はこれからも会いたいと思ってんねん」



「......」



私は何も言えなかった

今日、色んな事を見たり聞いたりしたから

たぶん心が混乱しているのだろ

自分の気持ちも大きく揺れているのを

自分でも分かっていた



大倉「迷惑でも、会いたいねん」


彼は再び言った



「煩わしいのは嫌です....」


私は彼の顔が見れずに俯いた


大倉「知ってる」


「なら.....」


私が言いかけた時に

彼がスタッフから呼ばれたのだ


その事に彼は私に苦笑いをすると


大倉「またな....」


その言葉を残して彼は去っていた



走って行く彼の姿を黙って見送った

仕事に向かう背中を



私の心は大きく揺れていた

このままでは二人の丁度良い関係は

終わってしまう事に


自分の胸の痛みの理由を探らないように


そして

私の心に小さい変化が起きていた事を

今の私はまだ気が付いていなかったのだ



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