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モノグラム

第9章 頼み




私は不思議に思っていると

重い口をゆっくりと開けた


大倉「俺の仕事を手伝って欲しいんやけど?」


私は彼の言葉に驚いた


「どういう事ですか?」


大倉「今度の曲の

プロモーションに出て欲しいねんなぁ?」


私が返事せずにいると


大倉「そのぉ、イメージがピッタリでな

その出演て背中だけで」


私が断る前提で頼んできていた

ダメ元での頼みだと


こんなお願いを私が聞くはずはなかったから


「女優さんやモデルの方が

いるじゃないですか?」


私は、一般的な返事をした


大倉「やからぁ...」


彼はイライラしながら言った

私はため息で返事をしていた



断られるのを分かってて

なぜ頼むのだろう?

私には不思議でしかなかった



大倉「やから、アカン?」


彼の顔を見つめていた


「さっきの電話は、それですか?」


大倉「俺があんたの事を

連れて来るって言って

ずっと言えんかったから....」


「そうですか?」


大倉「やっぱ無理か....」


彼は辛そうに俯いた


「困っているんですか?」


大倉「かなり....

今から他の人を探すとなると時間もないし」


私は大きなため息をついた


「わかりました....引き受けます」


私の言葉に彼は驚いていた


大倉「え、ええん?」


「困っているですよね?」


彼は何度も頷いた


「今回だけです」


大倉「マジで!助かる」


そう言うと彼は私の手を強く握った

私は握られた手を黙って見つめた



それに気が付いた彼は慌てて手を離した


大倉「ごめん、興奮してもうて」


「いえ....」


返事をしながら窓の外を見た

なんで、了承したんだろ?

今までの私ならしなかった

絶対に



困っている彼を私はほっとけなかったのだ

胸の傷が痛んでも


でも、彼を助けるのは

これが最後だと決めていた

二人の関係を縮める行為は

絶対にしないと心に決めたのでした


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