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モノグラム

第84章 新たに




 車がしずかに停まったのは

山の上のいつものレストランの駐車場だった



明け方になっていたので

レストランは閉まっており

車も一台も止まっていなかった



車から降りながら私は風を感じて

まだ薄暗い景色を黙って見ていると

後から降りて来た彼が車の鍵をしながら




大倉「久しぶりに来たかってん」



私を同じように山の空気を感じるように微笑んだ



「そうなんですか・・・」



返事をする私の手をそっと握ると

彼は何も言わずに歩き出した


何度か歩いた道を彼に導かれて歩き

いつも彼が連れて行かれた場所に来たのだ



大倉「やっぱ、ここは最高やな」



彼はそう言いながら

背伸びをしながら景色を見つめ

嬉しそうに笑っていた



そうここでも色んな事があった

何度も彼に告白された



その時の自分の性格の悪さを思い出して

私は苦笑いしていた



そんな私を見て彼は不思議そうにした


大倉「どないしたん・・・・」






「色んな事があったなぁって・・・」



私は静かに首を振って思い出すように言うと



大倉「そうやなぁ、あったなぁ・・・」



彼も感心するように呟いた




まだ眠っている街は静かだった

上から見ていると明かりは少なかったが

それが余計に幻想的だった




静かにその景色を見ている私の前に

彼は手を出した

その上を見ると小さい箱がのっていた



「・・・・・大倉さん」



私は驚いて彼を見ると

彼は少し照れ臭そうに鼻を擦りながら




大倉「ほらぁ、失くしたっていってたやろ?

やから、新しいのをな・・・」


その言葉に私は驚いた

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