第80章 奇跡
その私に彼は気が付くと
何も言わずに涙を手でぬぐってくれた
別れを選んだ
彼の本当の気持ちを知れた事と
彼の気持ちが変わっていなかった事が
何よりも嬉しかった
彼と別れて
言葉に出来ない程の辛さを経験したから
今の幸せが夢のようであった
大倉「ホンマに辛い思いをさせたなぁ・・・」
私の涙を拭いながら
彼は自分を責めるように言うのを
聞くと私は慌てて自分で涙を拭いた
「まぁ、その間は
煩わしくなかったですけど・・・」
少し笑いながら彼に嫌味を言うと
彼も釣られて笑い
大倉「煩わしい恋人で悪かったなぁ」
そう言いながら拗ねた顔をした彼を
久しぶりに見れたと私は思いながら
「まぁ、覚悟してますから・・・」
そう彼に笑ったのだった
悲しみは突然にやってくる
しかし、幸せも突然にやってくる
もし、私が今夜この場所に来てなかったら
彼とやり直す事は出来なかっただろう
運命の女神は
私と彼を応援しているのだろうか?
こんな奇跡もあるのだと
私は思って嬉しくなっていたのだった