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モノグラム

第79章 紛失





 そんな日々から更に一か月過ぎた頃だった



私が家に帰って

いつものように

ポケットの指輪を取り出そうとすると

なくなっている事に気が付いた




私は焦って、何度もポケットを探ってみたが

どこにもなかった

もしかしてと思い鞄の中も探したが

やっぱりなかった




「どうしよう・・・・」



私の心は

悲しみの色が更に強くなってしまった



彼と繋がっていた証の

幸せだった証拠だった

指輪を私は失くしたのだ





私は、何も考えずに家を出た



自分が帰って来た道を探し始めたが

夜中の道は見えにくかった



私はそんな事すら関係なく

必死で探して続けていた





探しながら

私の目には自然に涙が溜まっていた




私は感じていたのだ


これは、彼を忘れろという事なのだろか?

だから、指輪は消えたのだろうか?

もう二人の愛は終わったのだと教えるために




少し諦めかけた時だった


突然、聞き覚えのある声が耳に入ってきた




大倉「こんな時間に何をしてるん?」



私は驚いて顔を上げると

会いたいと願っていた彼が

不思議そうな顔で立っていた



突然の出会いに私の心臓は驚く速さで動いた


「大倉さんこそ・・・・」



私は、それだけを言うのがやっとで

その言葉に彼は少しだけ俯いた



大倉「後輩とこの近くでご飯を食べてたから」



「そうなんですか・・・」



二人の間には気まずい空気が流れていたのを

どちらも感じていただろ


でも、

どちらも足を動かして去ろうとはしなかった


もしかしたら、心の何処かでは

何かを期待している自分がいるのを

感じていたから



大倉「元気なん?」



彼は会話を変えてきた



「元気です」



大倉「それなら、良かったわ」



「ありがとうございます」



二人の会話が淡々と進んでいると

突然に彼が笑いだしたのだ



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