第76章 暗闇
その日の仕事中も
私の頭の中は
心配事で埋め尽くされていた
テレビで見ているように
私もマスコミにと思うと
怖かったのだ
考えながらの仕事に
失敗ばかりの私だったので
そんな様子を見て
周りはヒソヒソと話していた
心が焦れば焦るほどに
身体が動かなくなる
自分を感じていた
「どうしたんですか?」
そんな私に親友が声をかけてきた
私は周りを気にしながら
「それが・・・・」
かすれるような声をだしていた
そのいつもと違った様子に
彼女は不思議そうな顔をしていた
「マスコミにバレたようで・・・・」
私のやっとの言葉を聞いて
彼女の表情も変わった
「それって大丈夫なんですか?」
そう言いながら
彼女も周りで仕事をしている
同僚たちにこの話を聞かれないように
気にしだした
「まぁ、事務所の人の話では
なんとか・・・・」
私は苦笑いで答えた
「なら、良かったじゃないですか?」
彼女は私を
慰めるように言ったが
「そうだよねぇ・・・・」
私は言葉に出来ない
不安を感じていた
それが何か分からなかったが
「まぁ、とにかくは
二人で話し合うのが
一番だと思いますよ」
彼女はそう私に言いながら
優しく微笑むと
仕事に戻っていった
彼女の背中を見送りながら
言った通りに話し合いたいが
彼とはしばらくは会えず
この悩みに一人で抱き続けなければ
ならなかったのだ