第75章 新たなる問題
しかし彼は
静かに私を見据えると
「大倉と早まった事は
しないでくださいね」
「早まったって?」
私の聞き直した言葉に
彼は言葉を濁すように言った
「大倉と話したんですが
少しまた意地になってる
ようなので・・・」
私は彼の気持ちを考えていた
「そうですか・・・・」
やっと二人が上手く行きそうになると
いつもこうなるのだから
彼が意地になるのも
分かる気がした
「あと何を聞かれても
マスコミには
何も言わないで頂きたいのです」
彼の口調が強くなった
彼が言いたかったのは
これだったのだと悟った
「わかりました・・・・」
私が返事をすると
彼は軽く頭を下げると
静かに去って行ったのだった
一人残された私は
去って行く彼の背中を見つめながら
問題の大きさを考えていた
あの夜に彼との関係がバレて
この日が来るのは分かっていた
そして、彼と付き合って
覚悟はしていた
分かっていた事だが
目の前に現れると
頭が痛くなってしまうのだ
先を思うと
また私の心は暗くなってしまっていた