• テキストサイズ

モノグラム

第7章 甘え





 私が驚いていると



大倉「その冷たさ、俺が温めたるわ」


そう言いながら強く抱きしめたのだ




私の胸に痛みが走る

過去の罪が頭に浮かんだ瞬間に

彼を力いっぱい突き飛ばし叫んだ


「私の心に入るのはやめてください!」


怒っている私の顔を見て

彼は俯きながら


大倉「....ごめん」


謝ったが

私の怒りは収まらかった



「傘、返したいんです....」



もう会う理由を消そうとした



大倉「捨ててくれてよかったのに」



彼は寂しそうに言う



「彼女のですよね?」


その言葉に聞いた途端に

彼は私を強く見つめたのだ


大倉「ちゃうし....」



私は一瞬まずいと思った


「そうですか....」


大倉「おかんのやし」


彼の答えに驚くと


大倉「週刊誌を信じすぎや」


彼は怒っていた


「すいません....」


大倉「それに、あれはただ

食事した所を撮られたんや

他の奴もおったけど

丁度二人になった時に....」


私はため息をついた


「そうなんですか....

大変ですね...」


大倉「平気やし....」



「そんな人が甘えにきたんですか?」



大倉「意地悪やな、相変わらず」


彼が笑った

私はホッとしていた

彼の笑顔を見て


「それが私ですし」

大倉「それが私ですし」



彼が私との声に被せてきて

得意げに笑った



大倉「ちょっと元気でたわ、ありがとう」


嬉しそうに彼は微笑んだ


そんな彼を見て嬉しさを感じていた


それよりも心地よかった

あんなに会いたくないと思っていたのに



心の傷も感じながらも彼の笑顔で

癒されている自分がいたが

今はまだ

認められない自分がいたのでした
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp