第74章 幸せの定義
そのまま二人は
無言で歩いていた
たぶんお互いに幸せを
考えていたのだろう
すると
彼女が口を開いた
「最初の頃の先輩は冷たくって
付き合いにくい人かと思ってましたよ」
彼女は思い出すように言った
「付き合いにくいか・・・」
私は当時を思い出していた
あの頃の私は最低だった
誰にも近づこうとしなかった
生きる事さえ拒否していたから
でも、そんな冷えきった私の心に
無理矢理入ってきた・・・
色んな喧嘩した・・・
何回も泣いた・・・・
私は思いだしながら
笑っていた
「先輩は、大倉さんに出会えて
幸せでしたね」
彼女は
私の考えている事がわかるのか
嬉しそうにそう言った
私は静かに頷いた
「出会えてなかったら
あの頃の私のままだったなぁ・・・」
私は苦笑いしながら答えた
「まぁ
日々の色んな事で人は変わりますから
多少は変わっていると思いますが」
私は、また星を見た
日々の出来事は人を変える
なら彼との出会いは
運命のチャンスだったのかもしれない
幸せの・・・・
泣きながらも掴んだチャンスだった
そう思いたいと
私は星を見ながら一人笑っていたのだ