第72章 光
優しい表情の丸山さんに
私は落ち着いていた
今までも
どんな時も優しい言葉を
私に伝えて来てくれていたから
「でも、私には男の人の
気持ちが分からなくって
大倉さんの気持ちに
答えられているのか・・・・」
私は苦笑いしながら
丸山さんに胸の内を話した
丸山「・・・・・・・」
丸山さんは私の話を聞いて
静かに考えているようだった
少し長い沈黙に
私は、自分の痛む胸が辛くなり
視線を窓の外に外した
すると優しい声が聞こえてきた
丸山「分からなくてさぁ
良いんじゃないかなぁ?」
その言葉に驚いて
丸山さんを見ると
優しく微笑みながら
丸山「分かったら面白くないし
恋愛は楽しくないやろ?
まぁ男と女は違う生き物だから
そこが楽しいんじゃないかなぁ?」
丸山さんの言葉で
私は考え込んだ
「・・・そこが楽しい?」
丸山さんは更に付け加え
丸山「相手の事で悩むのさえ
楽しめたらさぁ
恋愛は楽しいモノになると
思うんだけどなぁ・・・」
丸山さんの言葉が胸に沁みてくる
「悩むことを楽しむ・・・・」
私のつぶやきを見ながら
丸山さんは笑っていた
丸山「恋愛は悩んでこそ
なんぼだよ」
私は、また丸山さんの言葉に
救われ
なんだか恋愛の極意を
教わった気がしていた
悩んで落ち込んでいる
自分は悪くないだと
それすら楽しんだらいいのだと
教えられた気がしたのだ