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モノグラム

第64章 八つ当たり






あの夜から私の心は

いつもここにあらずだった

だから仕事にも

集中出来てもいなかった

そんな私の周りで

彼女たちが噂話をしていた

今までの私なら気にしなかったが

今の私にはイライラする

原因でしかなかったのだ






もう、彼がこの店に来ることはない

彼のシンデレラの魔法はとけて

シンデレラすら、もういない・・・・






なのに

その事すら分からずに話している

彼女たちに怒りが増してくる





だから私は





「そろそろ

いい加減にしてもらえますか?」






私の突然の言葉に

彼女たちは驚いて見てきた






「考えてもらえますか?

芸能人が

私たちを選ぶはずないですよね」





彼女たちの顔つきが

ドンドン引きつっていく





「ちょっと考えれば分かりますよね

あと、もし彼がここで好きな人がいても

あなた達のハズはないですよ」






「なっ!」






一人が怒って文句を言おうとした

それを私は遮って





「そんな

いつも人の事ばかり言っている

人を誰が好きになるんですか?」





私は言いたい事だけを言うと

みんなの前から去って

仕事に戻った






自分の気持ちを言って

震えている身体を必死で抑えていた






そう、これは八つ当たりなのだ

そんな事は分かっていた

そして、そんな事をした

自分が惨めだった





シンデレラの魔法は

もう二度と掛からないのかと

私はため息をつきながら

いつも彼が座っていた客席を

涙の出そうな目で見つめていたのだった


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