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モノグラム

第40章 嫉妬




彼女たちの話題は私から

彼になっていた



自分を目当てで

彼が来てくれていると

嬉しそうに話す




そんな彼女たちを横目で見て

私は今までと違った

感情が生まれていたのだ




彼に出来上がった商品を

持って行って

少し楽しそうに話す様子を見て



胸の奥が痛んで

悲しさを感じていた






私以外に優しそうに話す

彼を見る事が

こんなにも辛いなんて....






「どうしたんですか?」



彼女が心配していた

私が驚いて彼女を見ると



「顔色が悪いですよ」




彼女の言葉に

必死でいつもの自分に戻ろうとした



「えっ、大丈夫だよ」



私はそう言いながら


戻って来た同僚が

彼と何を話したとかを

嬉しそうに言っている

話が聞こえてきて

苦しくなっていた




そんな私の様子を彼女は見ると



「もしかして、嫉妬してます?」



「えっ?」


彼女は少し困ったように

顔を俯きながら


「人の気持ちを昔から読んじゃうてか

昔から、できちゃってて

まぁ、だから人に嫌われちゃうんですが...」



そう言いながら

下げてきたコップを洗いだした



「嫉妬か....」



言いながら

自分に問いかけていた



「まぁ...

女の子に

きゃーきゃー言われるアイドルに

嫉妬しない彼女はいませんよ」



彼女は私を慰めるように言ってくれた




彼女の言葉を聞きながら

まだ席でくつろいでいる彼を

遠くから見つめていた

今までは

当たり前のこの距離が

遠く辛く感じるのだ



誰にも知られてはいけない

関係が辛かった

その人は私の彼だと言いたい

自分と闘い続けていた




彼と一緒にいるなら

この苦しみは

続く事を始めて知ったのだ





今は、仕事中だから彼からの指輪はない

私は、指輪をしてない指を静かに見つめていた


今の自分の感情が整理出来ずに

困っていたのだ



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