第1章 素敵なクラスとご対面*
学校へと向かう二人の横を、
様々な景色が通り過ぎていく。
まだこの街をよく知らなかった私は、
少しだけでも、と、
コンビニの場所をしっかりと
覚えることにした。
馬のような速さで
走る少年は、全く息が切れていない。
「あの…っ」
声をかけると、
「なに」と返事が聞こえた。
「く、苦しくはないんですかっ?」
「走るのは慣れている。」
シュッと返される返事に
少し驚き、私はつばを飲み込んだ。
少年はそれから何も言わず、
只前を向いて走り続けている。
私は、バクバクと高鳴る胸を
右手で押さえ、深呼吸をした。
彼も自分も無言のおかげか、
心臓の音が叫ぶように耳に響く。
そっと視線をずらした時に、
少年の背中が見えた。
(…やっぱ大きいな…。)
初めに会った時は、
別に身長は私と同じぐらいで、
随分と男子高校生にしては
背が低いなと思っていた。
もしかしたら私の方が
背が高かったかもしれない。