第4章 敬天愛人!?クミコ様*
腕相撲の結果は
氷の勝ち。どうやら
それが当然の結果らしく、
皆はカケルをケラケラと笑っていた。
「氷くんは力も強いんですね」
あまり押し付けないよう、
やんわりと話しかける。
すると、氷はチロっと私を見た後、
静かに目を瞑って頷いた。
と、その時。
「氷くーになんばしよっとー!」
「!!」
大きな声がしたと思えば、
窓からぶわっと風が吹き、
女の子が入ってきた。
「えっ!?窓からぁー!!?」
女の子はズデーっと
教室の床を滑って転んだ。
それと同時に、窓から
鳥の羽根がハラハラと入ってくる。
私は慌てて彼女を起こした。
「だっ、大丈夫ですか!!」
「あ、ありがとね」
少しなまり口調の返事。
女の子を立たせると、制服が
ボロボロに汚れていた。
これは土か、木の枝か。
とにかく、
道で転んだなどという
理由では片付けられない格好だ。
…こ、この子、どこからきたんだ…
驚いてそのまま
ぼーっとしていると、
女の子が私から離れ、
つったっていた氷に抱きついた。
「氷くー先に来るなんて酷いちゃー!」
氷はオロオロとし、
女の子の頭をそっと撫でる。
私は何が何だかわからなくなっていた。
「あっ、水ちゃんも来たの?」
「白石さんっ、水ちゃんって
あの女の子ですか?」
私の隣に寄ってきた白石に
質問すると、「そうだよぉ」と返された。
べったりしている水という
女の子を見ながら、私達は黙り込んだ。