第4章 敬天愛人!?クミコ様*
「さっき、他の奴らの
制服とか見なかった?」
「他の生徒の制服ですか?」
白石の言葉に首を傾げ、
そっと周りにいる生徒に
目を移してみる。
賢そうな少女は、
学校指定のリボンではなく、
可愛らしい猫の刺繍がついた
ネクタイをつけていた。
…あそこにいる男子は
シャツの上にパーカーを着ている。
じっくり観察していくと、
確かに皆同じような制服には見えなかった。
「…皆 違う服みたい」
囁くように言うと、
白石が「でしょ?」と言った。
「ここ鳳銘はね?
生徒が過ごしやすい環境を
意識した学園だから、
色々制服の規則なんかは
自由なんだ。俺だってほら、
ネクタイなんかしてないし、靴下も
暑苦しいから履いてないんだぜ?」
そう言うと、
自分の首元、足元を見せつけてきた。
これはこれで白石っぽいが…
少し自由すぎやしないだろうか。
顔をあげると、
白石の口角がにっと上がっていた。
そうとう笑顔の印だ。
「確かに…個性って大事ですね…」
「ね?でしょ?
だから愛ちゃんも、
自分の個性を存分に
出しちゃっていいんだよ。なんなら
俺がコーディネートしてあげる!」
楽しそうに話す白石を
見ると、なんだか驚いてしまう。
変わった一面を見れた気がして
気持ちはとても満足だった。
「ありがとうございます!
でも、私はこれが普通なので
崩したくなったら崩そうかと思います」
「そっか!じゃあ
その日まで楽しみにしーてよっ」
白石はあの綺麗な
鼻歌を歌う。思ったのだが、
白石は意外と美的な
センスをもった持ち主なのかもしれない。