第4章 敬天愛人!?クミコ様*
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昇降口を通ると、
登校してきた生徒たちが見えた。
見たところ皆
眠そうな顔をしている。
おおきなあくびをする生徒を
見つけたら、自分もあくびをしてしまった。
上履きに履き替えると、
小走りに階段の方へ近づく。
角を曲がると、
白石と管理人が待っていた。
「すみませんっ」
「気にするな」
管理人は微笑を浮かべると、
階段を上りはじめた。
白石と私は、
その後ろをついていった。
「そういえば愛ちゃんは
制服、着崩したりしないの?」
「え?」
階段を上る最中、
横から白石が問いかけてきた。
…制服を着崩す?
ボタンを開けたりすること?
不意に自分のシャツを掴んだ。
「着崩すってどういう…?」
聞き返すと、白石は
「そっか」と少し笑った。
その笑顔に何故か腹が立つ。
彼は可笑しそうに笑うのだ。
一体なに、
別にそんな笑わなくてもいいでしょ!
「愛ちゃんは真面目だから
着崩すなんて知らないよね、」
「いい加減笑わないでくださいよ」
堪忍袋の緒が切れます、
そう言ったところで、白石が
ごめんごめんと謝ってきた。
相変わらず嘘くさい謝罪だな。
ふぅーと声を出しながら
深呼吸を終えると、白石は
ジェスチャーを加えて語りだした。