第4章 敬天愛人!?クミコ様*
「へいへいお二人さ~ん、
朝からデートですかぁい?」
後ろから、聞き覚えのある声がした。
私は
「そんなんじゃありません!」
と振り返った。
「おおっと、怒んないでよ愛ちゃんっ
ただのジョーク!アメリカンジョーク!」
慌ててごまかそうとしている
大型の影。白石だ。
重たそうなエナメルバックを
背負い、耳のピアスは昨日と違い
銀色の三日月になっていた。
管理人がムスっと
した表情で白石を睨む。
「からかうのはよせ。
トイレ掃除二倍だぞ?」
「おおっ、ご勘弁をご勘弁を、」
「あはは、朝から大変ですね。」
白石はのそのそと
私の右隣に並ぶ。
猫のような口をした白石は
呑気に鼻歌を歌い始めた。
…意外とうまいな。
「今日は部活か?」
管理人が身を乗り出して
白石に訪ねた。
白石は「ん?」と
返事をしてから話し出す。
「うん、だから今日は
管理人を守れそ〜にないわ。ごめんっ
ツッキーから頑張って逃げて。」
「そ、そうか…」
「?」
何やら深刻な表情の二人。
話が理解できなかった私は
特に気にする必要もなく、
白石が歌っていた鼻歌を
自分も歌いながら歩いていた。