第4章 敬天愛人!?クミコ様*
「お母さん…っ!?」
慌てて玄関の扉を開けると、
案の定管理人がこちらを見ていた。
全速力で走ったせいか、
うまく呼吸ができなくなる。
「か、管理人さんっ!」
「だ、大丈夫か?」
「は、はい…っそれにしてもっ
早い…っですねっげほっ」
「話すな!呼吸を整えろっ」
苦しくて目を瞑っていると、
両肩に温かい感触が伝わる。
それが管理人の手だと
気づいた時には、玄関に母の姿が見えた。
何故か口元がニヤついている。
「! 愛のお母さんか?」
「う、うんっ…っ」
「あらら…!
どうぞどうぞ家にっ!!」
母はニヤケ顔を絶やさずに
管理人を手招きした。
驚いているのだろう、
管理人の目はギンギンに開いている。
「えっ」
「ちょっ!ちょっとお母さん!?」
突然なんてことをいうのだ。
これでは管理人に
悪い印象をつけられてしまう…っ
と、思ったが
管理人は一礼をすると、
「それじゃあ」となんのためらいもなく
我が家へと足を踏み入れていた。
(ええーーーーっ!!?)