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* クラス管理はお任せを *

第3章 ちょっと冷静になってみよう*





暁と管理人の背中が
坂に消えていくのを見届けると、

白石が「帰ろうか」と
私の肩を叩いた。












「私、少し気になります。」


「ん?」



交差点を曲がったところで、
私は足を止めた。

先を進んでいた白石も歩みを止める。
その無心な微笑みを浮かべて
私の顔を見た。



「管理人さんって、
 色々心配症すぎませんか?」


「管理人のこと?ああ、確かにね」



白石は、またも当たり前と
いうように頷いた。

その対応に、少しムスっとしてしまう。



「なんか不思議に思いませんか?」


「さっきもそうでしたけど…
 膝を少し擦りむいただけなのに
 わざわざ手当てをしてくれたり、

 『事故に遭うな』ってまるで
 お母さんみたいに言うんですよ?

 すごく優しいけれど…他人に
 心配されるのはあまり心地よくはありません。

 それに…『またね』とも言ってくれないし…」




お別れの挨拶がないのは
別に不自然ではないとも思う。

今日初めて出会った私に対して
そんなに親しくなろうと
していないのかもしれない。


だが、こうやって膝を
手当てしてくれたりする
優しさもあり、私は

管理人が わからないのだ。




正直な思いを口に出すと、
白石の口元がキュッと締まる。

私は、足元を見つめたまま
顔を上げられなかった。




「…怖いんだろうね」




返事に私は顔をゆっくりと上げる。
白石は、実に切なそうな顔をしていた。















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