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* クラス管理はお任せを *

第3章 ちょっと冷静になってみよう*





保健室から出て
二十分頃。


もうすっかり沈んでしまった
夕日を前に、四人肩を並べて歩いていた。

この時改めて
景色を観察してみる。

学園のまわりには新築が多いのか、
見かける殆どが出来上がったばかりのような
綺麗な見栄えだった。


白い壁や濃い青が目立つ屋根。
家々が密集している。


前の街とは随分違かったので、
すごく新鮮に見えた。



「愛ちゃんは何処から来たの?」




暁がひょこっと顔を出してくる。




「えっと…ここから
 ずっと西の方ですかね?」


「西の方って…
 普通街の名前とかでしょ」


「あーっ、ちーちゃん!
 コイツまた愛ちゃんをからかったよ!」


「なっ、からかってねーよ!」


「え、えっと…っ!?」




会話の途中で、喧嘩し始めた
二人を見ながら、私は戸惑った。

大きな体に比べて小さい顔が二つ、
額をくっつけて睨み合っている。


どうしようかと悩んでいたところに
管理人の「うるさい」という一言が

彼らの腹立たしさを抑えてくれた。



「それより愛、家から学園までの
 道のりは覚えているか?」



優しい声で管理人に質問された。
本当は覚えています、と元気よく
返事をしたいところだが、

生憎今朝は管理人の速さに圧倒されただけで
コンビニの位置しかわからない。

なんと複雑な気持ちだろうか…。



「残念なことに…まだ…」


「そうか… じゃあ、
 明日も迎えに行く。次は
 ゆっくり歩いて行こう。そうすれば
 道を覚えられるだろう?」


「あ…、ありがとうございます!」




管理人はニッと、
格好良い笑顔を見せてくれた。

綺麗なオレンジ色の光が
私達も周りの景色をも包んでいく。



この街も、すごく良さそうだ。







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