第3章 ちょっと冷静になってみよう*
「私達しかいないはずでは…?」
その直後、また
何かが軋む音が聞こえた。
多分ベッドの音だろう。
誰かが寝ているのだろうか?
「…起こしてしまったんでしょうか?」
「いや、それはないぞ。」
もう放課後だし、
自分達以外の生徒はほぼ
下校しているはずだ、と
管理人は首を振った。
じゃあいったい…。
考えていると、段々
良くないことばかりが浮かんできた。
「…まさか、おっ、お化け…とか?」
口をゆがませながら笑うと、
管理人が目を丸くしてこちらを見る。
そして、フッと鼻で笑った。
「もしかしたら、そうかもな。」
「ええっ!!?」
驚いた私は、乾いた声をあげる。
管理人から目が離せないでいると、
彼はまたふふ、と微笑み、
私の横をスタスタと通り過ぎた。
カーテンの前に立ち、手をかける。
「ひっ」と声に出してしまった。
「もしお化けでも、
僕がしっかり守るから安心して。」
「え…?」
管理人は、顔を見せない。
小柄な背中が、
あの時のようにまた、大きく、
そして力強く見えた。
不思議と、安心する。
私が小さく返事をすると、
管理人が「それじゃ」と勢いよく
カーテンを開けた。