第3章 ちょっと冷静になってみよう*
それからというもの、
先程まではなんの失敗もなく
スラスラと手が進んでいたのに
なんだが慌てているのだろうか、
包帯を落としてしまうことが
何回もあった。
管理人の目もぎこちない。
段々不安になってきて、
恐る恐る聞いてみた。
「…あのっ
大丈夫…ですか?」
「…あ、ああ。」
そう笑顔で答えてくれたが、
直後にまた包帯を落としてしまった。
スルスルと、真っ白な
道が床に伸びていく。
…大丈夫じゃないでしょう…汗
「私っなにか
まずいこと言いましたか?」
「えっ!、あ、いや。別に。」
「別に、じゃないでしょう!?」
「えっ、ええっと…そのっ」
こんなに取り乱した姿なんて
初めて見た。
手元がフラフラしていて
目線もろくに止まらない。
もしかして…
「…暁さんですか?」
管理人がピタッと固まる。
よし。図星だ。
でも、まさかのまさかで
管理人も暁のことを気にしているのか?
暁は管理人に好意をすごく寄せているし、
もしかしたらその影響で
管理人まで…・・・?
「・・・。」
「…。」
「…。」
「…その。」
「!」
管理人が、少し
恥こもった声を出す。